【広告主向け】アフィリエイト広告で、ASP追加を安易にお勧めしない理由

重りを持っている人

ASP追加には、管理負担の増加や重複成果、アフィリエイターの負担など“見えないコスト”があります。追加前に知っておきたい注意点をまとめています。

なぜASP追加は慎重にすべきなのか

アフィリエイト広告をスタートすると、他社ASPから「弊社も利用しませんか」と営業が入ることがあります。話を聞いてみたところ、「月額固定費を1年間無料にします」「専任のコンサルタントが付きます」「アフィリエイターのリクルーティングをサポートします」「新規のアフィリエイターの提携が増やせます」「ASP(弊社)に支払う成果報酬の手数料10%のうち、2%をASPが提携アフィリエイターに還元します」など、一見、魅力的な提案が並びます。

既に、いくつかの他社ASPから営業があった広告主もいらっしゃるでしょう。少しだけASP側の事情をお伝えすると、既にアフィリエイトを導入している広告主に営業する方が、ASPにとって圧倒的に効率が良いのです。

  • すでにアフィリエイトの仕組みを理解している
  • 計測タグの導入経験がある
  • 社内稟議が通りやすい
  • 成果報酬の仕組みを説明する必要がない

新規のWebショップにゼロから説明するよりも、既にアフィリエイト広告を導入済みの広告主に営業する方が営業コストが低いので、ASP追加の営業は積極的に行われることが多いのです。

しかし、 “ASPを追加する=成果が伸びる” とは限りません。むしろ運用負荷が増えるケースも少なくないのです。

筆者自身も、ギフトメーカーのWeb担当当時に、自社アフィリエイトを含めた複数のASPを併用したことがあります。“複数の管理画面の行き来” や “アフィリエイター対応の増加” といった、社内で見えにくいコストに悩まされた経験があります。「どんな場合でもお勧めしない」というわけではなく、広告主の扱う商品やサービスによって期待できる効果が見込めることもありますが、全ての広告主に効果的というわけではありません。“そもそも、ASPを追加すべきなのか” を再考していただきたく、この記事をまとめています。

ASPを追加すると増える運用コスト

ASPを増やすことの一番のデメリットは、管理コストが増えることです。

ASPが増えると管理画面が複数に分かれます。その結果、
・提携承認作業
・毎月の成果確定
・レポート項目の付け合わせ
といった日々の業務が複雑化し、担当者の負荷が大きくなります。

提携条件の変更をすれば、複数の管理画面で文言修正や追加をしなければなりません。情報提供のためにアフィリエイター向けメールマガジンを複数のASPで配信する場合も、差し込み機能の記号はASP各社で違うため、その都度配信テストを実施する必要があります。過去に実際にあった例ですが、差し込み機能を他ASPバージョンで作成したまま配信してしまった広告主もいて、どうしてもうっかりミスが発生しがちです。

そして、複数ASPを利用すると、同じユーザーの行動が複数ASPで成果として計測される「重複成果」が発生しやすくなります。例えば、Aサイト→Bサイト→Cサイトの順に遷移して購入につながった場合、本来は最後にクリックしたCサイトの成果となりますが、ASPが分かれているとA・Bでも成果が上がったように見えてしまいます。広告主はどのサイトがラストクリックなのか確認して、複数のASPの管理画面から、ラストクリックを発生させたサイトのみ成果を確定する必要があります。ASPが増えるほど、この付け合わせ作業は複雑になり、担当者の負荷も大きくなります。

さらに、この「重複成果」はアフィリエイター側にも影響します。 重複判定によって成果がキャンセルされる確率が高まるため、アフィリエイターは「紹介しても成果になりにくい」と感じ、優先度を下げる可能性があります。結果的に、広告主にとっても紹介機会の減少につながりかねません。

こうした背景から、複数ASPを利用する場合は、重複成果を防ぐためにワンタグの導入を検討する広告主もいます。ワンタグとは、複数ASP利用時に起きやすい「重複成果」や「トラッキングの不整合」を防ぐために、成果計測タグを一本化するサービスのことです。広告主としては成果確定をワンタグ業者の提供する管理画面で実施することになるので便利ではありますが、ワンタグには初期費用や月額費用が発生するため、コスト増につながる点にも注意が必要です。

複数ASPは広告主の管理負担が大きくなる

複数ASPを利用すると、広告主側の管理がどのように複雑になるのかを、もう少し具体的に見ていきます。

広告主が複数ASPを利用していると、同じアフィリエイターが複数のASPで提携していることは珍しくありません。なぜなら、アフィリエイターは成果報酬率やキャンペーン条件を比較し、できるかぎり有利な条件のASPを選択して広告を掲載したいからです。

アフィリエイターは条件の良いASPにリンクを貼り替えることがあり、成果が安定しにくくなるという問題もあります。たとえば、既存ASPで毎月安定して成果を出していたアフィリエイターが、別ASPで高単価キャンペーンを見つけてリンクを貼り替え、成果が急に別ASPに移動する場合もあります。

そのため、広告主は「どのASP経由で、どのアフィリエイターから成果が発生したのか」が分かりにくくなります。ASPごとに管理画面の仕様やレポート項目が異なるため、付け合わせや分析も難しくなります。

さらに、条件変更や情報提供を行う際も、ASPごとに同じアフィリエイターへ連絡が行くため、コミュニケーションが二重化し、認識のズレや伝達漏れが起きやすくなります。ASP間で条件が違うと、アフィリエイターとのトラブルにつながることもありえます。

このように、複数ASPを利用することで、広告主側の管理が複雑化してしまうのです。

複数ASPはアフィリエイターにも負担が大きい

ASP追加は、アフィリエイターにとっても負担が増えます。複数ASPを利用すると重複成果が発生しやすくなり、成果がキャンセルされる確率が高まります。クリックが発生していたのに、重複判定やワンタグ利用によるラストクリックのみの計測で、有効な見込み客を送客していても成果につながりにくい広告主だと判断されれば、アフィリエイターからの優先度が下がりやすくなります。

また、多くのアフィリエイターは副業で活動しており、複数ASPの条件やキャンペーンをすべて追いきれません。ASPごとに条件が異なると管理が煩雑になり、結果として対応しやすい広告主から優先して紹介される傾向があります。 つまり、ASP追加によって条件が複雑化すると、アフィリエイターは“追いきれない広告主”を後回しにする可能性があるのです。

一方で、複数ASPにすることで成果報酬や特単が競争状態になり、アフィリエイターが高単価のASPにリンクを貼り替えるケースもあります。これはアフィリエイターにとってはメリットですが、広告主側から見ると成果の不安定化につながるリスクがあります。 たとえば、通常10%の成果報酬の広告主が、後発ASPで20%キャンペーンを実施した場合、アフィリエイターはリンクを貼り替えるだけで報酬が倍になります。広告主側の施策とは関係なく成果が移動してしまうため、成果の予測が難しくなります。

このように、ASP追加はアフィリエイターの行動にも影響を与え、結果的に広告主の成果にも跳ね返ってくる点を理解しておく必要があります。

複数ASPで起きやすい「重複成果」の問題

複数ASPでは、重複成果が発生しやすくなります。単一ASPであればラストクリックのみを確定すれば済みますが、ASPが複数になるとASP間の付け合わせ作業が必要になります。この付け合わせをスムーズにするために、ワンタグを導入する広告主もいます。

ワンタグを導入するメリットは、タグの管理がシンプルになる、成果の重複を防ぐことができる、ASP追加時にタグ追加が不要になるなどです。デメリットは初期費用、月額費用が発生し、利用ASP追加のたびに追加費用が発生したり、大規模なサイトであればPV数に応じた従量課金が発生する場合もあります。

参考:主な相場感

  • 初期費用 0〜10万円程度
  • 月額費用 3〜15万円程度
  • 大規模サイト(PVが多い場合) 20万円以上になることも

※一部の広告全体を計測するツールは、さらに高額になる場合があります。

いずれにせよ、成果件数が増えていけば、ワンタグ業者を利用する判断も必要になり、月額コストも追加でかかるようになります。

ASPを増やしてもアフィリエイターの提携数は大きく増えない

大手ASPには、主要なアフィリエイターはほぼ登録しています。そのため “ASPを増やせば提携数が増える” とは限りません。むしろ、既存ASPでの施策強化に集中する方が成果につながりやすいケースが多いです。

もちろん、ASP追加がすべて効果がないわけではありません。ASPによって機能差や得意不得意のカテゴリーがあるので、現在利用中のASPで提携することが難しいアフィリエイターがいるなら、有効になる場合があります。
機能面ではレポートの情報量が不足している、アフィリエイター向けメールマガジンの機能が使えない等、運用面で不便を感じている場合などです。現在利用中のASPが特定のジャンルに特化していて、自社の商材にマッチしなかったなどもあります。

いずれにせよ、ASP追加には月額固定費だけでなく、運用面の“見えないコスト”も発生するので、目的を明確にして判断することが大切です。

まとめ:まずは既存ASPの最大限活用を

ASPを追加することは、一見メリットが多いように見えますが、管理コストの増加や重複成果の発生などの対応、アフィリエイターから見たデメリット、ASP追加に伴うワンタグ導入による追加費用の発生など、様々な負担も発生します。

“コストと手間が増える” というデメリットもあるので、ASP追加は“最後の手段”と考え、まずは既存ASPを最大限活用することが費用対効果の高い選択となります。提携促進やメールマガジンでの情報提供繁忙期の適切なキャンペーンを企画することを優先する方が、費用対効果が高いケースがほとんどです。

それでも、「追加を検討したい」という場合はお問い合わせください。やみくもにASPを追加すると運用コストが増えてしまうことも多いため、まずは現在の運用を見直し、成果を伸ばすための施策を一緒に考えてみませんか。