【広告主向け】アフィリエイトは危ない?不正が多い?原因と適切に運用する方法

アフィリエイトは危ない?売れない?

アフィリエイト広告は危ない・売れないと思われているようです。何が危険なのか、原因と解決策を探ります。

アフィリエイト広告は「危ない」のか?

アフィリエイト広告は、成果報酬型のプロモーションです。

アフィリエイトでは、アフィリエイターは広告主が提供した広告素材を利用して紹介します。アフィリエイターのブログやSNSに掲載した広告素材をサイト訪問者がクリックして、広告主のサイトへ誘導して、広告主のサイト上で注文や申し込みがあった分だけ、アフィリエイターに成果が発生します。アフィリエイターのサイトやSNSに掲載するだけでは広告費用が発生せず、注文や申し込みがあった分だけ報酬が発生する費用対効果の高い広告手法となっています。※アフィリエイターに支払う報酬以外に、ASPに手数料や月額固定費が発生します(月額固定費が無料のASPもあります)。

アフィリエイトは他の広告と比べて簡単に始められ、売れた分だけ・申し込みがあった分だけ支払いが発生する成果報酬なので、中小企業から大企業まで多くの広告主に利用されています。しかし、アフィリエイトにネガティブなイメージが付きまといます。

「アフィリエイトは危ない」「アフィリエイトは危険」と感じるのはなぜなのか、広告主側の立場で原因を考えてみましょう。

  • アフィリエイターの掲載内容を管理できない
  • 悪質な情報商材など、アフィリエイトのイメージが悪い
  • アフィリエイトは不正が多い
  • アフィリエイトは売れない

それぞれ、検証してみましょう。

アフィリエイターの掲載内容を管理できない

アフィリエイト広告では、アフィリエイターが提携する広告主を選びます。アフィリエイターからの提携申請を広告主が承認することで、提携関係となり、広告主が用意したバナーなどの広告素材を用いて紹介することができるようになります。

他の広告と違い、どのように紹介するかはアフィリエイターが決定します。広告主としては、顧客目線の率直な口コミを期待したいところですが、アフィリエイトは成果報酬なので、稼ぎたいがために、嘘のランキングや虚偽の情報、実体験のない架空の体験談、無断で著名人の写真や名前を使った訴求、効果効能の過剰な強調など、誇張した表現をして集客しようとするアフィリエイターも一部います。

アフィリエイターの過剰な訴求が法令違反になることもあります。

令和4年9月13日に、本件アフィリエイトサイトにおいて、「何をやっても太る理由が判明! 食べてないのに太るのは“燃焼力”がないから50kg以上の女性9割がしていない3週間で60.8kg→47.2kgまで痩せた方法がすごい!」との記載と共に、引き締まった腹部の画像等と表示するなど、「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、本件商品に含まれる成分の作用により、誰でも容易に腹部の脂肪が落ち、外見上の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。

消費者庁 2023年12月19日:株式会社ハハハラボに対する景品表示法に基づく措置命令について

消費者庁の公表した資料にも、複数のアフィリエイトサイトの掲載事例が紹介されています。その多くは、アドネットワーク広告を利用して集客しているアフィリエイター(アドアフィリエイト・アドアフィ)によるものでした。運用型広告を利用しているアフィリエイターは、広告費を自ら負担していることから、過剰な例も発生しがちです。

アフィリエイターに表現を委ねることから、過剰な表現をしてしまうアフィリエイターを完全に防ぐことはできません。
アフィリエイトは、アフィリエイターにとっても簡単にはじめられて、自分の好きな商品やサービスを紹介することで副収入を得るチャンスがある素晴らしい仕組みですが、守らなければいけない法律やASPや広告主が定める規約・ルールがあります。広告主としては、ルールを守ってもらえない可能性のあるアフィリエイターを提携否認しておくこと、成果確定の際にルール外の活動をしていないか確認をすることで、過剰な訴求をするアフィリエイターの排除が可能になります。できる限り手間を掛けたくない場合は、アフィリエイターの広告出稿を禁止する、登録しているアフィリエイターを審査して、ルールを周知徹底しているASPを選択しておくことをお勧めします。

悪質な情報商材など、アフィリエイトのイメージが悪い

情報商材とは、ネット上で販売されている電子書籍やオンラインコースなど、情報そのものが商品となるものです。中には使い古された手法や、薬機法違反の表現や著作権侵害、スパムやステマ行為をして「確実に儲かる」「楽して儲かる」と、アフィリエイト初心者向けに販売しているものもあります。ASPや広告主が定めるルール違反を犯す行為や、効果のないノウハウを「効果がある」とアフィリエイト初心者に販売しているケースもあり、国民生活センターでも情報商材へ注意喚起が発表されています。

情報商材とは、インターネットの通信販売等で、副業、投資やギャンブル等で高額収入を得るためのノウハウ等と称して販売されている情報のことです。情報商材そのものだけでなく、情報商材をきっかけに、電話やWeb会議で高額な副業コンサルティングやサポート契約、ビジネスセミナー等を勧誘されるケースが目立ちます。


独立行政法人国民生活センター 2023年9月1日:情報商材

国民生活センターには、アフィリエイトの情報商材をきっかけに高額なコンサルティング契約を結ばされる例もあり、「簡単に高額収入を得られる」という副業や投資の儲け話に騙されたと、年間で9000件を越える相談が寄せられたこともあります。

アフィリエイトは、そもそも短期間で成果をあげられるものではありません。
一般社団法人 日本アフィリエイト協議会が毎年行っているアフィリエイト市場調査でも、月3万円以上稼げている人は全体の9.7%、月1,000円未満しか報酬がない人が全体の71.0%と、誰でも簡単に稼げるわけではないこと、「時間と労力をかけ、しっかりとサイトを運営・管理しているアフィリエイトサイト運営者ほど、アフィリエイトで高い収入を得られる傾向にある」と情報共有をしています。

一般社団法人日本アフィリエイト協議会より 月額アフィリエイト収入(2022)
一般社団法人 日本アフィリエイト協議会:アフィリエイト市場調査2022年

アフィリエイターの中には、少しでも副収入を得たいとブログ運営をはじめたものの、数か月たっても成果が上がらず行き詰ってしまうことも多々です。つい「アフィリエイトで楽に稼ぐ方法」に流されてしまい、高額な費用を払っても成果にならず、アフィリエイトを詐欺的なものと捉えてしまうのは残念なことです。まずは、安易に情報商材に騙されないでほしいです。自分の記事が誰かの役に立つことで、その対価として報酬が得られるのが本来のアフィリエイトであり、個々のアフィリエイターが創意工夫をして取り組んでいるからこそ、評価と成果がついてくるのです。

広告主は提携否認のルールをプログラム詳細に記しておき、スパム的な活動をしそうなアフィリエイターを提携否認すること、情報商材の紹介をしているアフィリエイターとは距離を置くことをお勧めします。

アフィリエイトは不正が多い

アフィリエイトは成果報酬ゆえに、より成果を得るためにアフィリエイターが過剰な行為をする場合があります。不正クリック、自己購入(自己申込)、転売、リスティング違反、過剰な訴求などです。

アフィリエイトの不正クリック

不正クリックは、アフィリエイトプログラムでクリック報酬を設定している場合に発生します。広告主は提携前にサイトを確認することができるので、不正を起こしやすいアフィリエイトサイトとは提携しないことが重要です。提携済みのサイトであれば、アフィリエイト別レポートで月のクリック数が急激に増加しているサイトを目視で確認して、成果確定時に否認対応をします。

アフィリエイトの自己購入(自己申込)

自己購入は、自己申込(セルフアフィリエイト)で成果とする、実質的なキャッシュバックを提供することです。プログラムにより「お一人様につき、ひとつまで」と条件を提示していても、家族の名義で複数回利用した例がありました。
同一住所の場合は1回のみ成果として、複数申し込みがあったものはキャンセル処理が必要です。問題を繰り返すアフィリエイターなら、提携を解除してASP担当者に連絡をしておきましょう。

アフィリエイトの転売

転売は、アフィリエイトの自己申込のプログラムを利用して購入した商品や、広告主がレビュー用に提供した商品を、フリマアプリなどで転売してしまうことです。中には、他人の名義を借りたり外部に依頼して、自分のアフィリエイトリンクから申し込みをさせる例もあります。高額な成果報酬を設定していれば実質的に割引価格で購入できるので、転売することで成果の二重取りになると問題になっています。

広告主としては、自ら商品を利用してもらうことは、商品体験に活用してもらえるメリットがあります。自己申込の報酬額を実質無料やお得な高額報酬にしないこと、複数回の購入を制限することで、ある程度は防ぐことはできます。まずは定期的に、アフィリエイター向けメールマガジンでルールを周知すること。アフィリエイト別レポートから、サイト内容に見合わない成果を上げていると思われるアフィリエイトサイトがあれば、個別に確認をしましょう。

レビュー用に商品を提供したのに、提供品をフリマアプリなどで転売されてしまうこともあります。悪質な意図はなく、「手元におくには不要だった」ということもあるでしょう。無作為な配布をせず、「転売禁止と条件を提示して、守ってもらえる人にだけ提供する」「複数回、利用して1か月後など、使い込んだ経過を紹介してもらうことを条件に提供する」「親和性の高いサイトを運営していて、長く利用してくれそうな人にだけ提供する」「既にやりとりのある、信頼できるアフィリエイターにのみ提供する」など、企画を工夫して対応しましょう。

アフィリエイトのリスティング違反

広告掲載の条件にリスティングなどの広告出稿を禁止していても、広告主に隠れてアフィリエイターが出稿をしているケースもあります。年末年始などの長期休暇期間、土日祝日、営業時間外の夜間は要注意です。広告出稿を防ぐには検索結果を確認するパトロールが有効な手段ですが、疑わしい事例が多いならストリスのような有料ツールの導入を検討する必要もあります。

広告出稿に関しては、アフィリエイターに提供する成果報酬を低めに設定しておき、「広告出稿して集客をしても、損」とすれば抑えることができます。有力なアフィリエイターに掲載してもらうために、同業他社より高めの報酬を設定したいなら、特別単価(特単)を用意するなど、一律ではない対応も可能です。

アフィリエイトの不正を防ぐには

成果報酬ゆえに、ASPや広告主の定めるルールを逸脱して集客しようとするアフィリエイターはいます。提携承認時に、問題のありそうなアフィリエイターとは提携しないようにすること。成果報酬を適正に設定して、定期的にパトロールを行い、ASPから提供されるアフィリエイト別レポートを成果確定前に確認することで防ぐことができます。まずは不正をしそうなアフィリエイターと提携しないことが重要です。

アフィリエイトは売れない

筆者はASP在籍時に広告主向けセミナーを担当していたこともあり、アフィリエイトプログラムを終了予定の広告主からお話しを聞く機会がありました。解約検討の主な理由は「予想より運用に手間が掛かる」こと、そして「アフィリエイト広告は、思ったより売れない」でした。

アフィリエイトは成果報酬型の広告手法で、費用対効果が高く利用できますが、アフィリエイターに提携してもらい、紹介(稼働)してもらわなければ露出されません。バナーを貼るだけで売れるような知名度の高いショップならともかく、放置していては提携や稼働が進むわけではないので、運用が必須です。多くの広告主は、運用を開始してから一度もアフィリエイターにメルマガを送付したこともなく、適切な時期に報酬アップキャンペーンを企画することもないまま、アフィリエイトを終了していきます。とても残念なことです。

紹介したくなる情報を提供し、アフィリエイターの活動を後押しすることが必要です。御社の課題が、「アフィリエイトサイトからの提携が少ない」のか、「自社の商品と親和性の高いアフィリエイトサイトに掲載されない」のか、「クリックは発生しているのに、注文につながらない」のか、課題を明確にして対応されることをお勧めします。

適切にアフィリエイト広告を運用する方法

アフィリエイト広告を運用することに、漠然とした不安感を持つ広告主は少なくありません。

運用型広告と違い、アフィリエイト広告は、どのアフィリエイトサイト(媒体)に掲載されているか、掲載内容を確認することができ、提携する・提携しないを広告主が選ぶことができます。2023年10月よりステマ規制がスタートしたこともあり、アフィリエイターも法律を守って紹介しようと、責任を持って活動してくれています。掲載面を確認できるアフィリエイトは、適切に運用できれば他の広告より安心であるとも言えます。信頼できるアフィリエイターと、適切なリレーションを築いていただきたいです。

適切に運用するポイント

  • アフィリエイターの提携条件を見直す
  • 成果報酬を適切に設定する
  • 提携承認を手動承認にする
  • ASPのレポートで成果上位サイトを確認する
  • 成果上位のサイトを、定期的にパトロールをする

これらを実施することで、アフィリエイトは適切に運用することができます。不正をしそうなアフィリエイターの見分け方、レポートの確認方法など、アフィリエイト広告運用に不安を感じたらぜひお問い合わせください。お待ちしております。